宿命論 ー Fatalistic ー .18
つ 「うわっ!もうこんな時間!」
11時待ち合わせなのに、起きたら10時…!
昨日はアルコールが入って、帰宅するまで凄い眠気に襲われて大変だったのに
ベッドに入ってから司との事を思い出してしまって全然眠れなかった。
ホテルの豪華な場所でお酒を飲んで、この後部屋に連れ込まれるのかとか
そうなったら私はどうしたら…
なんてグルグルと考えていたのに、約束通りつくしが1杯目のグラスを空けると司はスマートにエスコートして
自宅へと送り届けた。
何もなくて安心したのに、モヤモヤしている自分に戸惑い
目が冴えてしまった。
これから違う男性とデートだって言うのに何を考えてるのよ!
昨日司が触れた髪を1束摘んでいた自分の頰が赤い事に気付いたつくしは
顔の前で手を振って気持ちを切り替え
いつまで経っても慣れないメイクを簡単に施して
何とか約束に間に合わせた。
・・・・・
約束の15分前。
待ち合わせしたカフェに着くと、既にその場所には智明がいた。
窓の外に現れたつくしを見付けると、爽やかに微笑みを見せる。
智明 「つくしさん。急なお誘いだったのにありがとう。」
少し低くて優しい声。
心を落ち着かせてくれる様なサンダルウッドの香りがつくしを笑顔にした。
つ 「いいえ。お誘いいただきありがとうございます。」
自然につくしの背中を支える智明の手がエスコートしてくれる。
車に乗せられて着いたのは、東京湾が望めるホテルのレストラン。
真っ青に澄み渡る青い空と低い太陽に反射してキラキラ輝く海が美しい。
店内には家族連れやデートを楽しむ男女の楽しそうな笑顔が溢れ
テーブルの上には美味しそうなイタリア料理が並んだ。
つ 「おいしいっ!」
トマトで煮込まれたお肉はホロホロと柔らかくて
酸味がとても爽やかだ。
智明 「喜んでいただけて良かった。
お恥ずかしい話なんですが、僕はあまりおしゃれなお店を知らないので…
このホテルはウチの提携会社が経営しているので偶々知ったんです。」
つ 「そうでしたか。このホテルも御社のグループなんですね。」
智明 「御社って…つくしさんも同じ会社でしょう?」
クスクスと笑う智明につくしは思い出した様に視線を上げた。
つ 「あ…そうでした!智明さんは千堂商事に戻られたんですよね。」
つくしとの見合いの後すぐに智明は以前勤めていた会社を退職し、来週から千堂商事に戻る。
社内でも御曹司の凱旋が話題になっていた事を思い出した。
つ 「智明さんが会社にお戻りになる事で、女子社員たちは喜んでましたよ。
御曹司の凱旋ですから。」
智明 「凱旋なんてとんでもない。ただの転職みたいなものです。
来週からつくしさんと会社でもお会いできると思うと嬉しいです。」
つ 「私とですか?でも部署が違うし、大きい会社ですから中々すれ違う事も少ないんじゃないですかね?」
言葉の真意を読み取って貰えなかった智明はつくしの顔を見る。
つくしはその視線に気付く事無く料理を美味しそうに口に含み笑顔を見せると、つられる様に顔をほころばせた。
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